Logs on the Dune
浜辺には丸太で組まれた砂防柵が、幾重にも連なっている。その浜を見渡す砂丘の上に、保養所はある。建物は地表の起伏に沿って配置されており、丘の一番高いところにLDKと二階のメインの客室、その他の諸室は自生する植物と同じように、地面に這うように建っている。
この独特の環境をそのまま取り込もうと、室内やテラス、プールの床は周囲の砂地の色と粒度に合わせた洗い出しの左官として、砂が入り込んでも気にならない仕上げとし、プール内には海岸に落ちている角の取れたシーグラスを散りばめた。架構は浜辺の砂防柵として使われる丸太を取り入れ、海や山の雄大な景色に開くことにした。
丸太は塩害や強風の対策にもなる。幹内の繊維を切断する角材と比べて、強度があって反りにくく、材積に余裕があるため金物を使わない接合が可能である。 それ以上に惹きつけられたのは、設計者がコントロールすることのできない質を持っているということだ。丸太の使用は、最初から完全な設計図を前提とする建築から、「原始の建築」への遡行となる。その場所にある素材の細かい差異同士を組み合わせながら、より良い状態へと近づいていく「野性の手法」なのだ。日本の伝統的な接合方法である「ひかり付け」はその別名であり、部材同士の外形の違いを即興的に利用して、さらに強度を高める嵌合である。
我々はこの周辺環境のブリコラージュが、どうすることもできない大きな存在としての自然を尊重して受け入れ、人間と自然の理想的な関係性をつくると考えている。この砂丘の丸太の連なりは、周辺環境と自然への讃歌である。
- Completion
- 2019.3
- Principle use
- Guest House
- Site area
- 2,973.㎡
- Total floor area
- 499㎡
- Structure
- RC + T
- Constructor
- TOUKAI CONSTRUCTION
- Team
- Tomohiko Kimura