狭山湖畔霊園管理休憩棟
敷地は街から森へ至る坂の中腹にある。休憩棟は軒を極端に低くして、風景に馴染むような平屋である。外周部に日常の世界に対する結界としての水盤、その内側に休憩室や食事室などの客用スペース、中央に事務系諸室を配した。
人が言葉では慰めきれない悲しみの中にいる時、空間にできることは何かと考え、その振る舞いをそっと支えるような建築を目指した。敷地は美しい風景の只中にあるが、うつむきがちな人の目線にあわせて、あえて軒を内部床から1.46mの高さとしている。低い軒先に誘われて自然と窓辺に歩みを進めると、疲れた心と体を休ませるベンチが待っている。腰を下ろせば、遠くの景色が一気に広がって見える。軒先の向こうに抜ける狭山の森や丘陵、街並みを越え、遠い記憶に思いを馳せる。やがて静かな時間の中で故人との語らいが始まる。それに呼応するように、風や雲、陽光の変化が水紋や木漏れ日となって頭上に現れ、故人からのメッセージのように室内に響く。この屋根は半眼と呼ばれる座禅時のまぶたに似た目線のあり方を再現し、訪れた人が心の内と外の世界の両方を眺められることを意図した。
休憩室にはあえてダウンライトを設けず、水盤からの反射光とハイサイドからの木漏れ日によって照度が常に変化する空間とした。故人を思い、故人と会話する空間でありながら、これからも生きていく人のために、刻々と変化する世界の美しさを表現したいと考えた。
- Completion
- 2013.01
- Principal use
- Hall
- Structure
- S + RC + T
- Site area
- 765㎡
- Total floor area
- 490㎡
- Building site
- 2050, Kamiyamaguchi, Tokorozawa Shi, Saitama
- Structure design
- Arup
- Contractor
- Matsui Kensetsu
- Textile coordinate
- Yoko Ando
- Team
- Atsushi Ikawa, Kohei Taniguchi, Eisuke Hara, Keisuke Minato,Kunihiko Miyachi
- Religious Architecture Award / Merit in category of New Facilities
- AR Awards(Emerging Architecture Awards) / Merit