Tokyo International Airport Terminal2 / 展望デッキ
東京国際空港(羽田)第2旅客ターミナル増築棟の商環境設計者として、屋上展望デッキを設計した。ここは別れを惜しみながら去り行く人を見送る場所である。見送る人は、去り行く人と今日を限りにしばらく会えなくなるのだから、少しでも一緒に、そして飛行機の近くで見送りたいと思うだろう。飛行機の窓に目を凝らして、大切な人の顔を探すにちがいない。気持ちは滑走路の上にあるのだ。
まずはフェンスのディテールを徹底的にミニマイズし、横ワイヤーのシンプルなものとした。床から立ち上がる防水の顎の部分は、手前に金属下地を渡して床のタイルを貼ることで、素材感を統一した。また、目線より下に照明を集め、滑走路への視認性を向上させた。
滑走路上の航空機の誘導灯をモチーフとして、展望デッキのタイルの床に約3000個のLEDのアッパー照明を埋め込んだ。
数が多いので、全てを配線するのではコストがかかる。そのため、一つひとつに太陽光発電と蓄電池を内蔵させた小さな照明を開発。加えて、常時点灯させると発光時間が短くなるため、光を点滅させることで、長時間点灯を実現した。また、それぞれの個体の点灯時間を数秒ずらすことで、明滅する光に包まれた不思議な浮遊感を醸し出した。滑走路の只中に立っているかのような臨場感によって、大切な人をすぐ傍で見送りたいという気持ちに沿った空間となった。
- Completion
- 2010.10
- Principal use
- Airport
- Structure
- S
- Site area
- 159,000㎡
- Total floor area
- 3,340㎡
- Building site
- Hanedakuko, Ota-ku, Tokyo,
- Contractor
- TAISEI
- Team
- Ikuma Watase, Tomohiko Kimura